倉庫管理において誤出荷がなくならない主な理由は、以下のようなものが挙げられます。

ヒューマンエラー

誤出荷の最も根本的な原因は、人的ミス(ヒューマンエラー)です。具体的には以下のようなケースがあります

  • ピッキング時の商品の取り間違い
  • 出荷指示のミス
  • 伝票の貼り間違え
  • 入荷時の管理タグの貼り間違え

これらのミスは、作業員の注意力不足や慣れによる思い込みなどから発生することがあります。思い込みの事例としては、出庫伝票に記されている品目の下桁の数字に引っ張られ、出庫数を取り違えて品目の下桁の数字でピッキングしてしまっているパターンがありました。

業務フローの問題

誤出荷は、必ずしも個々の作業員の問題だけではなく、業務フロー自体に問題がある場合もあります。例えば

  • 作業手順が標準化されていない
  • 複雑すぎる業務ルール
  • 倉庫内の整理整頓が不十分

これらの問題により、作業員が正確な作業を行うことが困難になっています。

特に、複雑すぎる業務ルールは、倉庫や物流センターのみで解決できない場合がほとんどです。得意先ごとに、様々な個別の要求に応えるうちに、とんでもない業務のパターンが出来てしまっている場合があります。受注する営業担当は、顧客要求に応えるための手間(工数)や影響を認識できないことが多いのです。

また、倉庫内の整理整頓については、キャパ以上の入荷があり、取り敢えず空いているところに一時的に置いており、何が何処にあるのか分からなくなっている場合もあります。この場合も、倉庫や物流センターのみで解決することは難しく、調達や仕入れ担当と入荷予定を共有して対応することが必要です。

システム活用の不足

適切なシステムの導入と活用が不十分な場合、誤出荷のリスクが高まります。例えば

  • 在庫管理システムや倉庫管理システム(WMS)の未導入
  • バーコードやRFIDなどのテクノロジー活用の不足
  • リアルタイムでの在庫情報の更新ができていない
  • システムの対象外の入出庫が存在する

教育・意識の問題

誤出荷の重要性や影響について、作業員の理解が不足している場合があります。具体的には

  • 誤出荷が企業に与えるリスクの認識不足
  • 「多少の出荷ミスは仕方ない」という意識
  • 経営者と作業員の間の意識のギャップ

対策の不足

誤出荷を防ぐための具体的な対策が不十分な場合もあります。例えば:

  • ダブルチェック体制の不備
  • 作業環境の改善不足
  • 定期的な研修や教育の欠如

これらの理由により、倉庫管理において誤出荷が完全になくならないのが現状です。しかし、適切な対策を講じることで、誤出荷を最小限に抑えることは可能です。例えば、業務フローの最適化、WMSの導入、作業員教育の徹底、そして定期的な見直しと改善を行うことが重要です。